「良医」をめざすユニークな体験型授業“ドクターロード”
1・2年次に実施している総合的な探究の時間を「ドクターロード」として、以下の内容を実施しています。
いずれも医学・医療の大切さ、厳しさ、やりがいを感じることができるカリキュラムであり本校の特長的な取り組みです。
- ●メディカルスクール・アワー
1・2年次に川崎医科大学の教員による高校生向けにアレンジした授業を受けます。
- ●テーマスタディ
2年次にグループに分かれて、研究テーマを決め、調査や実験・観察を行い、発表します。
- ●現代医学教育博物館見学
現代医学教育博物館は、豊富な実物標本と視聴覚教材で現代医学の全般が学べる施設。1年次の1学期に施設を見学し、医学の歩みを学びます。
- ●医師へのインタビュー
1年次に生徒自らが診療科を選択し、質問事項を考えて、川崎医科大学附属病院・総合医療センターの医師に1対1でのインタビューを行います。
- ●医科大学体験実習
2年次にグループに分かれて、川崎医科大学の研究室で解剖学や生物学などの体験実習を行います。
- ●旭川荘研修
社会福祉法人旭川荘は障がい者・高齢者のための関連施設。1・2年次に施設での実地体験を行い、医療福祉の現状を学びます。
- ●附属病院見学
2年次に川崎医科大学附属病院の医療機器や医療環境を見学します。
- ●卒業生講話会
医師として活躍している卒業生の講演を聴きます。
メディカルスクール・アワー
早くから医科大学の雰囲気に触れることで、医師になる気持ちを高めていきます。
- ・1年次2学期から1年間、川崎医科大学の先生が講義を行うメディカルスクール・アワー(月1回実施)。
医科大学への進学後に学習する項目を高校生向けにアレンジして講義を行うことで、学習意欲向上や進学後の不安解消となります。
- ・高校生の段階で医科大学の教養科目、基礎医学を学び、また臨床医学の先生方の講義が体験できるのは本校ならではの特長です。
- ・講師である川崎医科大学の先生は本校の卒業生のときもあり、後輩に対して優しく、そして時には厳しく講義をしています。

令和3年度開講テーマ一覧
(講師所属:川崎医科大学 ※は本校卒業生)
テーマ |
講師 |
利他的行動は社会を変えられるか |
総合臨床医学 桑原篤憲 先生 |
小児科・新生児の魅力 |
小児科学 萩田聡子 先生 ※ |
声を聴く、音を診る |
検査診断学(内視鏡・超音波) 畠 二郎 先生 |
医者は病気をどう推理する?-小児科編- |
病態代謝学 松田純子 先生 |
誤嚥性肺炎を予防するためには? |
リハビリテーション医学 山本五弥子 先生 |
女性に多いがん 乳がん なぜ増えているのでしょう? |
乳腺甲状腺外科学 紅林淳一 先生 |
やりがい満点の外科医の世界 3Kじゃないよ4Kだよ |
心臓血管外科学 種本和雄 先生 |
がんってな~に?-がんと上手に付き合おう- |
臨床腫瘍学 山口佳之 先生 |
人生100年時代への挑戦~機能を守る耳鼻咽喉・頭頸部外科~ |
耳鼻咽喉・頭頸部外科学 原 浩貴 先生 |
テーマスタディ
自主的学習で身につく問題発見・解決能力も将来のための大切な基礎です。
- ・グループごとにテーマを決め、調査やプレゼンテーションを行う時間を2年次に設けています。
- ・この自主的学習を通じて、社会人として、医師として必要な問題発見力・解決能力・プレゼンテーション力を身につけることができます。
現代医学教育博物館見学
- ・1年次の1学期に実施する現代医学教育博物館見学は、体のしくみや様々な病気について身近に触れる機会となっています。
- ・動脈硬化模型に触って硬さを確かめたり、胃の内視鏡を自分で操作できる機器等の展示品があります。

医師へのインタビュー
- ・川崎医科大学附属病院で勤務している医師に約50分、1対1でのインタビューを行っています。
- ・なぜ医師をめざすのか、実際の医師の仕事とはどのようなものかを知る貴重な機会です。
医科大学体験実習
- ・2年次にグループにわかれて川崎医科大学の各教室にて体験実習を行います。
- ・普段ではできない実験や演習を行います。中には高校での学習内容が基礎となるものもあり、通常の学習の大切さを感じることもできます。
令和3年度体験実習一覧
教室名 |
実習内容 |
解剖学 |
精子幹細胞移植 |
生理学1 |
心臓の研究 |
生理学2 |
運動療法の様々な効果 |
生化学 |
DNAを増幅させよう:PCRの原理と実施 |
微生物学 |
インフルエンザウイルスの観察 |
遺伝子発現の解析方法について |
ウイルス遺伝子の発現を蛍光顕微鏡で観る |
薬理学 |
PCRって何? |
免疫学 |
免疫系と病気 |
病態代謝学 |
小児難病モデルマウスのDNA鑑定をやってみよう |
分子遺伝医学 |
遺伝子型と体質を比較してみる |
衛生学 |
予防医学の現場を学ぶ |
医師としての自覚や人間性を育むプログラム
さまざまな体験を通じた学習で医師となるための自覚や人間性を育みます。
- ・川崎医科大学や川崎医科大学附属病院の施設・人材を生かした見学や研修、講演会、社会福祉法人旭川荘での研修などの行事も数多く実施しています。
- ・これらの行事を通じて、医師となるための自覚や人間性を早い段階から育むことができます。

ドクターロードを終えての生徒の感想
- メディカルスクール・アワー
- 講義の始めに、先生が手術中の写真や動画を紹介するとおっしゃったので、少し緊張しましたが、初めて本物の手術動画を見ると、目をそむけるどころか、患者を切除する器具の動きに夢中になって見入ってしまいました。正直、自分でもびっくりしました。今まで外科医は手術をしないといけないし、私には無理だと思っていましたが、動画で見たような手術をできるようになってみたいと思いました。
- 医師へのインタビュー
- 今回のインタービューでとても印象に残ったのが、患者さんとの接し方とチーム医療についての話です。
(中略)チーム医療は、コミュニケーション力がとても大切で、看護師や薬剤師など多くの人と連携をとり、患者さんの人生を診ることで病気を治すということを学びました。
- 医科大学体験実習
- 実験材料となったマウスの命に感謝し、今回の貴重な経験を通し、これからも医学の研究面に興味を持ち続けたいと思います。
- 附属病院見学
- CTやMRIといった最新の医療機器に触れることができました。(中略)大学に入ってから初めて見るのではなく、今回一足先に本物を見られたことで、将来進むであろう医療現場の空気を感じることができたことは、本当に貴重な体験だったと思いました。
- 旭川荘研修
- 職員の方の話で印象に残った言葉は、「障がいがあるからできない、障がいがないからできるではなく、みんな同じ人間で根本的な考えや行動は同じ」です。さらに、「障がいのある人がしたいことを制限されているのは、障がいのある人が悪いのではなく、障がいがあるからできないという考え方をする社会が制限しているいるんだ」と言われ、はっとしました。
